2024/08/03
全財産とパスポートを失ってから20-30分後、僕はジョニー(仮名)と出会った。
ジョニーはなまりの強い英語を話す陽気な警察官。
深夜のローマテルミニ駅前の交番に居た。
3人の警察官の中で、最も英語が得意な様子だった。
(写真はグーグルで拾ったもので、ジョニーとは関係ありません)
僕は超落ち込んでいるのだが、ジョニーにはスマホゲームのほうが関心度が高いらしい。
「とにかくクレジットカードをストップしな、その連絡が終わったら書類を書こう。で、電話は署を出てかけてくれな、この建物は電波が悪いからさ」
とジョニー言われ、携帯電話でクレジットカード会社3社に電話をかける。
途中、マスターカードのコールセンター@アメリカの日本語スタッフが日本語が不得手で、違う部署をたらいまわしにされたり、充電が20%を切り始めたりしてイライラするが、45分程度ですべての手続きを終えた。
このとき23時くらいだったと思う。
深夜、あたりは暗く「POLICE」の看板だけがあたりを照らす。
いまにもバッテリー切れしそうな携帯電話を片手に、異国のコールセンタースタッフと会話をする。
落ち込む僕と、明朗活発に事務をこなすコールセンタースタッフ。
会話のBGMとして、カチカチという入力音が聞こえてくる。
そして、時折、交番に駆け込んでくる人たち。
落ち込んでたり、怒ってたり。
ジョニーは相変わらずの適当な仕草で、駆け込んでくる人を捌き続ける。
そしてスマホゲームへの集中力も欠かさない。
「カード会社への電話終わったよ」とジョニーに声をかけると、
「この用紙を記入しろ」とポリスレポートを渡される。
「ペン貸してくれないかな?」とお願いすると、
「なんだよペンも持ってないのかよ?」という顔をされる。
「だからカバンごと盗まれたって言ってんだろ」という顔をすると
「このペン出るかわからないけどね?」という表情でペンを渡される。
記入は簡単で10分程度で終わる。
それを渡すと、ペンのやりとりあたりから不機嫌なジョニーが、用紙を持って2階に上がる。
待つこと10分。
ジョニーは、陽気に戻って帰ってきた。
「OK!FINISH!」
そう言って用紙(ポリスレポート)を僕に渡す。
「え?こんだけ?パスポートとか盗まれてんのに?」と僕が言うと
「それ持って明日は大使館に行きな!OK!FINISH!」と繰り返される。
まあ、そうか。
これだけスリや盗難が多発していれば、多くの事件の中の一つだよな。
襲われたり怪我したわけでもないし、ローマのテルミニ駅(中央駅)前の交番なのに3人しかいないことを考えれば、むしろ親切に対応してくれたとも言える。ペンのインクも出たし。
時計を見た。
24時前を指していた。
日本時間では午前7時だ。
ほぼ徹夜と思えば、冷静に考えることすら出来ないのかもしれない。
とりあえず宿に戻ってシャワーを浴びよう。
ジョニー、お前も仕事がんばれよ。
心でつぶやいて、宿に向かって歩き始めた。
次回。
結論として「ローマでカバンを盗まれて良かった」に至ります。