2024/08/03
敢えて乱暴な表現をさせてもらいました。
正確には、以下の通りです。
管理監督者は、予備実績が不十分な抜擢をしてはならない。
登用される側は、ドラマのような抜擢を夢見てはならない。
という意図になる。
抜擢
多くの者の間から、優れた力をもつと認め、他は差し置いて特に取り立てること。
僕自身も、世間的に抜擢人事と呼ばれるようなことをやってきた。
パッと思いつくもので、以下のような例がある。
新卒2年目を関西支社の立ち上げ支社長に任命
(現:ネットプロテクションズ 取締役 秋山瞬 氏)
新卒1年目をCOO直轄の主力部門のマネージャーに任命
(故:ビズリーチ 元社長 多田洋祐 氏)
新規事業の実行責任者とし先輩社員数名の管理監督者に任命
(現:ラフール 取締役副社長 小梨明人 氏)
ただ、僕に言わせれば、いずれも「抜擢」なんかではない。
彼らには、任務同様の実績は無かったが、任務を達成するに相応しい予備実績が十分にあった。
関西支社長を任せた秋山君は、学生時代からフルタイムのインターンで活躍していた。
学校にもスーツで行っていたので、友人にはサラリーマンとニックネームを付けられていた➡仕事が最優先の実績が3年以上あった。
内定者インターン時代に、チームマネジメントを経験し、ピープルマネジメントは体当たりであることを体得していた➡実際、2人目のメンバーを東京から連れていくときは、1ルームに同居し、24時間体制でチームビルディングを実行した。
新卒1年目にトップセールスも経験していたが、顧客は100%自分で開拓した顧客だった➡顧客は与えられるものではないことを知っていた。
他にも、公開するにはブラック企業すぎる予備実績が多数あった。
つまり、管理監督者は、抜擢候補者の些細な言動、姿勢、スケジュール、行動量、礼節、感情コントロール、すべての予備実績を見て判断しなければならない。
打てるバッターを4番にするのであって、4番にしたから打てるわけではない。
23年間も経営者をしていると、何度か「彼を抜擢してはどうだろうか?」という推薦に、「否!」と強く意見したことは何度もあった。
それはやはり予備実績が不十分だったからであり、その後の実績からも、厳しい判断は間違っていなかったと自信を持って言える。
勤怠が良くない、時間にルーズ、同僚部下に横柄、感情コントロールができない、役責以上の努力が足りない、勤務時間外の態度に課題がある、、、など、管理監督者として、逸材を見極めるために、実は目を光らせている(ただし、トボケたフリは徹底している)
逆に、妥協した甘い判断(予備実績が不十分な抜擢)は、ことごとく失敗した。一度も成功したことは無い。
それは当然だ。予備実績が不十分で登用するのは、運頼みの宝くじと同じだ。そう簡単に当たる訳はない。
抜擢される側の人は、これらの事実をしっかり認識することが大事だ。
ドラマみたいな抜擢なんてない。
運動部で言うなら、部室の整理整頓、用具を丁寧に使う、声出し、自宅での素振り、足腰の基礎体力、ユニフォームの着用姿勢、監督への態度、部活以外での学校生活、そして試合での実績。これら全部を見られている。
「抜擢された!」ではなく、「すべての予備実績を見てて頂いてたんだ」と思うのが自然なのだ。
逆に言うと、「なんで抜擢されないんだろう?任命されないんだろう?」と思うことがあれば、周囲のフィードバックを自ら獲得しに行くべきだ。
打率が3割なのに部室で煙草を吸っていれば登用はされないだろう。
本人が気づいていないが、グローブを叩きつける癖がある、ゴロのときに全力疾走しない、部活には遅刻しないがホームルームには遅刻している、みたいな無自覚の至らなさがきっとあるに違いない。