株式会社アイレップ
1997年創業の株式会社アスパイアから、2000年に社名変更。 2006年に大阪証券取引所ヘラクレス(現 大阪証券取引所JASDAQ)へ上場、2014年に東京証券取引所市場第二部へ市場変更。デジタル技術と高度なマーケティング戦略を駆使し、近年はテレビCMやコンサルティングにも注力。フルメニューのデジタルマーケティングエージェンシーとして成長を続けている。現在は、博報堂DYグループの傘下。
基幹システム刷新へ。プロフェッショナルの知を集結し、組織を強くする。
事業変革とそれに伴う基幹システム刷新のため、プロジェクトを推進できる人材を探していたアイレップは、2019年末にBNGパートナーズへ相談。
現在は紹介されたプロフェッショナルチームとともにプロジェクトを進めている。
事業立ち上げからシステム変革に至った経緯、BNGパートナーズとの仕事について、アイレップ 永井敦副社長に話を伺った。
アイレップが人材に投資する理由
永井:
弊社は、創業者がネット専業広告代理店という形を整え、2代目の頃に大きくシェアを伸ばした会社です。まだ日本の広告市場が5,000億円程度だった頃から、
検索連動型広告という一本足打法で勝ち続けてきたんです。
しかし、2014年ごろからマーケットに変化がありました。検索連動型広告以外にも、24時間365日運用できるディスプレイ広告が出てきて、ネットの世界でもクリエイティブの力が必要になってたんです。しかし、クリエイティブは、我々が苦手とする分野でした。
検索連動型広告というのは、一人ひとりに最適化した広告を表示させるテクニックで広告成果に大きく差がつき、その拠り所は過去の実績、データです。
一方、クリエイティブ力が必要なディスプレイ広告は、もちろん過去の分析もしますが、当時の検索連動型広告よりも広いターゲットに訴えかけ、たくさんリーチして勝ちパターンを作るという、性質の違いがあります。
さらに今は、テクノロジーの進化で、デジタル化できる領域も増え、同時に分析、検討すべきことが飛躍的に増えた。すると、何にどれだけお金をかけて一体何を目指すのかという、より大きな問いに応える必要が出てきました。
お客様に相談されたことを技術的に解決するだけでなく、これから何をすべきなのか提案できる会社にならなくてはいけない。
100社のお客様に対し100通りのご提案ができ、実際に戦略を立て、実行するようなビジネス創造型の会社に変わって行かなくちゃいけないんです。
そこで、これまで持ってきたデータドリブンという強みに、総合広告代理店が持っているクリエイティブやマーケティングの力をミックスし、総合化していこうと。
「マーケティングを再定義しよう」をミッションに掲げ、3代目の社長のもと、人材層や営業スタイルの変革に注力しているところです。
基幹システム刷新へ、動き出したプロジェクト
永井:
我々は、申し上げたような事業シフト、営業スタイルの変革に伴い、まずは基幹システムを見直そうと考えていました。
既存システムは、10数年前に独自に作ったものでしたが、これが非常に優れていて。すべてのデータが集約されているので、営業はデータベースから合う商品を選ぶだけで、自動で契約書が発行されるんです。しかし、これによる弊害もありました。
営業の仕事は仕様書をデリバリーする、広告のチューニングをする業務が中心になってしまったんです。もっと様々な提案をし、お客様の課題や想いに本質的に向き合える組織にしたい。システムが会社や人の成長を阻害している、これはぶち壊さないといけないなと思いました。
とはいえ、私もシステム畑の人間ではないですし、システムに実際落とし込んでいくときの要件定義というのは、知見がないとできません。そこで外部のプロフェッショナル人材が必要になってきたというわけです。2019年末ごろに、もともとBNGパートナーズ代表の蔵元さんにご相談しました。
結果から言うと、BNGさんからご紹介いただいたプロフェッショナルチームが業務委託という形で入り、とてもうまく回っています。
名取:
弊社としては、プロフェッショナル同士が知を結集させて、弱みを補完し合うことで、強い部分を存分に伸ばせる組織作りをご支援したいと考えています。プロが集まることによって、1×1が20にも30にもなるような、事業の新しい進化や変化を起こすきっかけを作りたいですね。
まだまだ多くの大企業が「自前の正社員がいい」という神話を持っていらっしゃる中、アイレップさんにご紹介したチームは業務委託という形です。柔軟に受け入れるリテラシー、認め合う文化があったからこそうまくいっているのだと思いますね。
永井:
我々も、最初から受け入れるリテラシーがあったわけではないんです。なんとか自分たちで頑張ろうと思ってチャレンジした時期もありましたが、様々な経験をしました。そこから、少しずつリテラシーが醸成されてきたのだと思います。
BNGパートナーズとの仕事
永井:
我々は「変えていきたい」と考え、コンセプトや大きな絵はありましたが、細部は常に模索中で組織も流動的であったため、求める人物像やスペックをと言われても明確化が難しい状況でした。ですから、BNGさんとお話しをして、「人材」というより「役割」として何が必要か、マネジメントチームとしてどうしたいのか、というのをブラッシュアップし、理解していただいたのは大きかったと思います。
経営層をお相手にされているからか、非常に話の理解が早いし、「こんな感じですか、こうでしょうか」ってドンピシャで聞いてくださるのが、めちゃくちゃ心地よくて。
「あぁ、わかってるなぁこの人」と(笑)。
3時間くらい話をしただけなんですが、次の打合せのときには、候補の選択肢をご提示いただいたんです。そのお二人の候補は、どちらも素晴らしい方でしたし、我々が求めることにこの人ならばどういうことができる、というのを具体的に教えていただきました。比較対象としても素晴らしくて、僕はそれに感動したんですよね。
名取:
ありがとうございます。僕らは人材の会社ですけど、実は人の提案はしていないんですね。課題に対しどうあるべきか、目指すものが何か。そのためにどういうチームを作らなくちゃいけないのか。ゴールのイメージを経営者の方と見ることによって、それができる方をご紹介できているのだと思います。
永井:
実際にそれを実現できている会社はなかなか少ないですよね。どうしても採用という手法に限定されてしまい、人材のスペックばかりを伝えてくる会社さんは多いんです。それに今回のプロジェクトは業務委託契約で、期間限定で並走してもらう形ですが、そういう所もBNGさんは幅が広いですよね。
プロジェクトに今必要な人が、3年後も同じく組織に必要かどうかはわかりませんし、採用という形で固定してしまうとリスクになる場合もあります。だからこそ、コア人材、社員というだけでなく、いろいろな切り口で役割に合った方を投下できるというのは、大変助かりました。
自前の力だけでなんともならないときには、外からリソースを引っ張ってきてでも結果を出すのが経営者の仕事です。BNGさんに経営課題や必要な人材などについて常に知っておいてもらえると、経営者としては非常に采配をふるいやすいですね。
また、BNGさんが持っているネットワークの広さを活かし、アイレップにとってのエグゼクティブ層のネットワークであってほしいです。今回のプロジェクトは3時間で理解していただけたので、そこを10分でわかるくらいまで、我々のことを見ていてほしいなと思います(笑)。
今後の展望
永井:
これから我々は、クライアント企業がユーザーに対して望むことを、総合的にお手伝いできる会社になりたいし、そのためのソリューションをすべて持っている会社になりたいと思っています。だからこそ、人への投資が必要なんです。
直近では、「TEAM JAZZ」 というプロジェクトを発足して、さまざまなプロの人材をネットワークで繋ぎ、ユニットのような形でクライアント企業にご提案するという取り組みをはじめました。またグループ企業やパートナー企業からも、クリエイティブディレクターやマーケティングのプロに来てもらい、我々が苦手としていた部分の更なる強化を図っています。
社内でいくら「こういうふうに変わらなきゃいけない」とか、「概念としてこうなんだ」と言ったところで、現実として目の前の仕事をやっているメンバーからすると、絵空事にしか見えないことってあると思うんですよね。
だから、外部のプロが来て、社内のメンバーが一緒に仕事をする中で体験することは非常に有益です。プロのやり方をお手本にして、実際に社内のメンバーたちが刺激を受け、本当にどんどん変わってきたと思います。これまで欠けていたパーツを外部の方が埋め、中にいた人たちが既存事業とつなげる文脈を担う、理想的な形が出来つつあると思いますね。
雇用という概念を超えて、一流の仕事、一流の人が集まってくる場でなくてはいけない。ここにくれば、たくさんの知識があり、プラクティスがある。そこまで行ってはじめて、目指すことが成し遂げられると思っています。
とにかく前例にとらわれず、マーケティングを新しく書き換えていく。クリエイティブの力と、データドリブンという強みを活かし、天下を取りに行きます。