IHI運搬機械株式会社

IHI運搬機械株式会社は、パーキングシステム・クレーン・コンベヤの開発、設計、販売、製造、据付ならびにメンテナンス、改修を行う企業。
高層建造物の建築では同社のクレーンがほぼ100%使用されており、パーキングシステム分野では機械式立体駐車場のシェアNO.1の企業である。

「未活用資産の有効活用」をテーマとした新規事業への挑戦 「未活用資産の有効活用」をテーマとした新規事業への挑戦

BNGパートナーズとご一緒することでアイデアの具現化が進む

IHI運搬機械は、1973年の設立以来、IHIグループにおける運搬機械の総合メーカーとして、パーキングシステムおよび運搬機械の事業を展開し、業界最大手として、両事業の製造・販売を行ってきました。パーキングシステム事業部においては、機械式駐車装置、および自走式駐車場の設計・製作および据付工事を主力事業としております。

しかしながら、昨今の自動車を取り巻く環境の変化に伴い、自動車と駐車場の需要供給バランスが崩れ、納入済み機械式駐車装置に空車室が増える状態となりつつあります。そのため、空車室という「未活用資産の有効活用」をテーマとした新規事業へのチャレンジが必要な状況になりました。

IHI運搬機械では、数年前から上記テーマに沿った新規事業として機械式駐車装置を用いたカーシェアリングや駐車場シェアリング、そして、機械式駐車装置の操作盤のフタの鍵をシェアするスマート・キーボックスという3つのアイデアの事業化検討を進めてきました。

しかしながら、機械式駐車装置を用いた事業案が安全性確保の観点から事業化見送りとの判断となり、残り6か月で違う事業案を見つけ出さなければ、新事業撤退との状況に追い込まれました。残された資産であるスマート・キーボックスを用いた応用展開先を無我夢中で探す中で、ある不動産会社との出会いがあり、最終的にBNGパートナーズとご一緒することになったスマサポキーボックスにつながりました。このスマサポキーボックスは、スマートフォンのアプリケーションで物件の空室情報を検索できるとともに、物件内覧を予約、内覧物件の扉に取り付けたスマート・キーボックスをアプリケーションで開錠、鍵を取り出し物件内覧が行えるクラウドサービスです。従来は、仲介会社が管理会社へ鍵を取りに行き、物件内覧後に、管理会社へ返却に行っておりましたが、その手間を大幅に減らすことができる商材となります。

残されたわずかな予算と“年度末までに実証実験を行い市場ニーズがあることを証明しなければならない”という、ある種追い詰められた状況の中で、システム開発のための新たなパートナーを見つける必要が生じていました。

志を共有することで、最短距離でゴールにたどり着ける 志を共有することで、最短距離でゴールにたどり着ける

"社会をよくしたい"という私たちの思いが共有できた結果

プロジェクトメンバーの知人を通じてBNGパートナーズの「オープンイノベーションブリッジサービス」を紹介してもらったのですが、もはやこれが“最後の勝負所”と認識。“ここがだめだったら、このプロジェクトは失敗に終わる”と覚悟を決め、打ち合わせに臨みました。すると、思いが通じたのか、私たちが掲げる『未活用資産の有効活用』『不動産業の困りごと解決』というコンセプトに共感。「一緒にそれを実現したい」と即答で快く引き受けてくれました。BNGパートナーズの熱意と、そして“志が共有できる”との思いから、失敗しても悔いははいとの思いをもって、託すことに決めました。

BNGパートナーズから高い技術力を持つスタートアップ企業をご紹介いただきました。こちらの会社もBNG同様、コンセプトへの共感と熱意を持って課題を解決しようとする姿勢を強烈に感じられるものでした。結果的として、わずか1ヶ月という期間で最低限のシステムを構築。実証実験が可能な状況へとシフトさせてくれました。

同じ思いを持ったプロジェクトメンバーという位置付けで本プロジェクトを実行しました。スタートアップ企業と私たちが、得意な分野をそれぞれ認識し、互いの熱意で引っ張り合いながら、ワンチームでプロジェクトを進めていた結果、この超短期間で仕上げることができました。発注者と下請けという関係であれば成し遂げられなかったと思います。

私たちのような規模の企業においては、決められた期限内に、ある一定の成果を出さなければ、その事業を次のフェーズに進めることができません。そういった意味でも、まず予定通り実証実験をスタートできた意義は大変大きなものでした。そして実際に興味を持ってくれた不動産会社様の物件で実証実験を行い、ユーザーインタビューで「購入したい」という声を数多くいただくことに。その結果をもって、不動産会社とのアライアンスならびにスマサポキーボックスとしての本格的な製品化に乗り出すことができました。

やはり、熱意を持って志を共有してくれるパートナー企業と組むことで、自ずとゴールに最短距離でたどり着ける。それは、“日本をよくしたい”という私たちの思いが共有できた結果なのだと、今回改めて思いました。しかし、現実的にはそういったパートナーを見つけることは難しいですよね。それは2,400社以上のベンチャー企業をコンサルティングしているBNGパートナーズだからこそマッチングできたことなのでしょうし、それこそが今回のプロジェクトにおける最大の成功要因といっても過言ではありません。

大手企業とベンチャー&プロ人材を“志”でつなぐ 大手企業とベンチャー&プロ人材を“志”でつなぐ

これからの関係性

実証実験を行い、市場性があることを証明するアーリーステージを乗り越えたのち、次の課題はこの製品/システムを商用サービスに耐えられるようシステム構築することとなります。このフェーズでは、組織的な動きができ、商用サービスの構築が得意なスタートアップ企業をマッチングしていただきました。そして無事サービスリリースし、運用改善フェーズになる中では、運用改善フェーズにマッチしたスタートアップ企業をマッチングしていただきました。BNGパートナーズの特徴は、このようにフェーズにあわせて臨機応変に提案を変えてくれる点にあります。

スマサポキーボックス事業が立ち上がった後、新規事業のさらなる拡大を検討するフェーズでは、事業戦略やマーケティングを得意とするプロフェッショナル人材に「プロエージェンシーサービス」としてチームに参画していただきました。BNGパートナーズは新事業チームの状況を把握し、事業を成功させるために不足しているリソースを教えてくれました。新製品がカタチになって世に出ていき成長するまで、ずっと伴走してくれている感覚です。

IHIグループはこれまで、社会に対して様々なインフラを納入してきました。人口動向の変化によって日本経済もターニングポイントを迎え、それらのインフラの多くが遊休資産となっていくことが予想されます。それらにいかに付加価値をつける手段を提供するか、それを考えるのは、インフラを供給してきた私たちの新たな使命であると考えております。

私たちは、この「未活用資産の有効活用」というテーマに沿って、これからも様々な商材を市場に投入していくつもりです。そのためには“オープンイノベーション”という考え方が必要不可欠。大手企業とベンチャーのベストマッチングがあると思っています。例えば大手にはアイデアと顧客をもっており、企画もできるのですが、それを実行するために必要な人材がベンチャーに比べて不足しています。

その時代にあった人材がいない、だから手を組んで、いくのがベターだと思います。そこを志でつなぐのがBNGパートナーズです。IHIグループはこれからも、私たちだからできること、すなわち従来のインフラに新たな価値を与えるために、多くの新たな才能を巻き込みながら事業を進めてまいります。